救急看護

患者の訴える痛みから考えられること

看護師として働いていると「痛み」について患者に尋ねることは多いことが容易に想像できます。その時に、患者が訴えた「痛み」が何を意味しているのか?何が起こっているのかを看護師は理解しないといけません。
今回は、「痛み」について基本的なことをまとめてみます。

まずは問診が重要

痛みに関しては、救急の場では院内トリアージなどで頻発する内容になります。

また、患者の急変時などのサインにもなるため「痛み」の訴えがあった場合は、網羅的な問診を行う必要があります。(意識障害が無い場合)

網羅的な問診では「LQQTSFA」「OPQRST」などを活用するとよいです。

痛みは全身のどの部位でも起こり得ますし、痛みの部位と障害されている部位が異なることもあるため臨床推論する上で困難さを感じることがあるかもしれません。

まずは、問診を確実に行い考えられる病態をアセスメントできるようにしましょう。

問診で得た情報からどの疾患・病態を考えるかは多くの参考書があるので参照してください。

LQQTSFA・OPQRSTについては以下の「臨床推論」で紹介しています。

臨床推論

発症様式から緊急度をトリアージ

痛みの出現の仕方(発症様式)から緊急度を考えます。

特に注意が必要なのは突然発症(Sudden onset)と言われるものです。
これは、痛みが「たった今」「〇時〇分」と痛みの出現が明確な場合です。

しかし、医療者と患者の間には「突然」などの認識がずれていることもあります。患者からしたら昨日からの痛みも突然と認識するかもしれません。

看護師からすると昨日からの痛みということは「昨日から今までは耐えることができる程度の痛み」と認識するかもしれません。

どのような発症の仕方なのかを正確に問診することが緊急度判断のためには必要になってきます。

突然発症以外の発症様式もまとめておきます。

発症様式まとめ

突然発症(sudden onset):
・明確な時間や何をしていたかを明確に覚えていることが多い
・症状は強く、発症から短時間で受診することが多い

急性発症(acute onset):
・数分~数十分かけて痛みが最強点になる

緩徐な発症(gradually onset):
・日単位以上で発症した場合
・緊急な疾患は否定的と考えられる

突然発症では主に
・破れる:腹部大動脈瘤破裂、消化管穿孔、突発性食道破裂
・詰まる:急性心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓、上腸間膜動脈血栓症、尿管結石
・捻れる:精巣捻転、卵巣茎捻転、S状結腸捻転
・裂ける:胸部大動脈解離、椎骨脳底動脈解離
の4つがあるため、これらを頭に入れてアセスメントするといいかもしれません。
(疾患は例です)

体性痛

続いて痛みの種類についてです。

体性痛には2種類あり、表在痛と深部痛です。

<表在痛>
皮膚の痛みのことで、局在が明らか。
緊急性の高い疾患が隠れている可能性は低い。

<深部痛>
筋や骨に生じる鈍痛で、局在は不明瞭。
側壁腹膜や腸間膜、横隔膜などの疼痛は、体性痛に分類され、痛みは鋭く、局在が明らか。

*腹痛において体性痛と内臓痛の分類をすることは重要であり、体性痛の場合、「腹膜炎」の可能性を示唆します。

内臓痛

内臓痛とは
管腔臓器の内圧上昇や実質臓器の被膜の伸展などにより引き起こされる痛みのことです。

内臓痛は自律神経系との相互作用が起こりやすく、自律神経症状(冷汗、悪心嘔吐など)が伴うことが多いです。
⇒冷汗・悪心嘔吐がある場合、内臓痛の可能性が出てくる!

臓器からの痛覚経路は複数存在するため、複数の脊髄レベルに達し、内臓痛の痛みは、局在や痛みの性質は不明瞭なことが多いです。

そのため、内臓痛の場合、痛みの部位を示してもらうと、握りこぶしや手のひらで示したり、手お動かして範囲を示したりと漠然とした範囲を示すことが多いです。

関連痛

関連痛とは、
本来の痛みの発生部位とは異なる部位で感じる痛みのことを言います。

有名なものだと心筋梗塞で左側頸部・下顎・肩などが痛みを生じることがあります。
こういった症状+胸痛や心電図検査でST変化などがあればすぐに疾患を想起することができると思います。

しかし、一つ一つの臓器の関連痛の場所を覚えることは困難ですし、そのほかの所見からも疾患・病態を疑うことができるので有名なものだけ覚えるというのでもいいと思います。

詳しくは成書を参考にしてください。

最後に

痛みに対する問診・発症様式で疑う重要性・痛みの種類について紹介しましたが、すぐに実践できるものでもありません。
日々の積み重ねが必要になるので、患者の訴えに耳を傾け真摯に向き合って看護実践ができたらと思います。