救急看護

心不全の初期対応で活用できるクリニカルシナリオ(CS分類)

救急の現場意外にも入院中の患者でも心不全が発症することは多々あるかと思います。そんな時に、どのように対応したらよいか困る人がいるかもしれません。そんな時にクリニカルシナリオ分類が簡便で使いやすいかと思いますので紹介したいと思います。

クリニカルシナリオとは

クリニカルシナリオは収縮期血圧を指標として急性心不全を5つに分類しています。

また、その分類を用いて病態把握や治療の開始を行う方法になります。

医師が判断し治療方針を決定するかと思いますが、どういう分類かを知っておくことで、看護師が観察する点や検査・治療の準備など予測性を持った行動を行うことができると考えます。

クリニカルシナリオの分類

クリニカルシナリオは以下のように分類されています。

CS1

収縮期血圧>140mmHg
・急性に発症
・主病態はびまん性肺水腫
・全身性浮腫は軽度
・急性の充満圧の上昇
・左室駆出率は保持されていることが多い
・病態生理としては血管性

CS2

収縮期血圧:100~140mmHg
・徐々に発症し体重増加を伴う
・主病態は全身性浮腫
・肺水腫は軽度
・慢性の充満圧、静脈圧や肺動脈圧の上昇
・その他の臓器障害
(腎機能障害、肝機能障害、貧血、低Alb血症)

CS3

収縮期血圧<100mmHg
・急激あるいは徐々に発症
・主病態は低灌流
・全身性浮腫や肺水腫は軽度
・充満圧の上昇
・以下の2つの病態がある
 ①低灌流または心原性ショックを認める
 ②低灌流または心原性ショックがない

CS4

急性冠症候群
・急性心不全の症状および徴候
・急性冠症候群の診断
・心臓トロポニンの単独の上昇だけではCS4に分類しない

CS5

右心不全
・急激または緩徐な発症
・肺水腫はない
・右室機能不全
・全身性の静脈うっ血所見

CS1~CS3までは収縮期血圧で分類しており、CS4・5は収縮期血圧以外の要素で決めているようです。

各分類ごとの対応

各分類ごとに主な病態が違うということは、対応も変わってきます。
それぞれの、治療内容をまとめていきます。

CS1の治療

・NPPVおよび硝酸薬
・容量過負荷がある場合を除いて、利尿薬の適応はほとんどない

CS2の治療

・NPPVおよび硝酸薬
・慢性の全身性体液貯留が認められる場合に利尿薬を使用

CS3の治療

・体液貯留所見が無ければ容量負荷を試みる
・強心薬
・改善が認められなければ肺動脈カテーテル
・血圧<100mmHgおよび低灌流が持続している場合には血管収縮薬

CS4の治療

・NPPV
・硝酸薬
・心臓カテーテル検査
・ガイドラインが推奨するACSの管理
・大動脈内バルーンパピング(IABP)

CS5の治療

・容量負荷を避ける
・SBP>90mmHgおよび慢性の全身性体液貯留が認められる場合に利尿薬を使用
・SBP<90mmHgの場合は強心薬
・SBP>100mmHgに改善しない場合は血管収縮薬

以上のように各分類ごとに推奨されている治療法があります。
特に、NPPV・硝酸薬・利尿薬・輸液管理は必須になってくるので詳しく勉強しておいた方がよさそうです。

治療目標も心不全のガイドラインでは挙げられています。
・呼吸困難の軽減
・心拍数の減少
・収縮期血圧の維持と改善
・状態の改善
・尿量>0.5ml/kg/min
・適正な灌流に開腹

実際にどう活用するか

救急の場で働いていると、受診依頼の電話や救急隊からの搬送依頼でまず情報を得るかと思います。
その時に、心不全を疑うのであれば症状やバイタルサインを確認し、患者来院までの時間に必要な検査や、治療に必要な準備をしておくことが大切になってきます。

準備しておくもの

・聴診器
・心電図モニター
・血圧計
・SpO₂モニター
・静脈路確保の準備
・採血の準備
・12誘導心電図
・心エコー
(必要時)
・薬剤(硝酸薬)
・NPPV

上記に代表的な準備物品を挙げています。
この他にも必要なものはあると思うので各施設で確認しておくといいと思います。

また、心臓カテーテル検査を行うこともあるので放射線技師やカテーテル室などとも連携を事前に図るとスムーズに検査・治療を行うことができます。
胸部レントゲン検査は必須になるので、来院と同時に放射線技師に連絡してすぐに撮影するのもいいかもしれません。

まとめ

クリニカルシナリオについて簡単にまとめさせていただきました。
患者対応中に判断するのは難しいかもしれませんが、意識して患者に関わることで判断ができるようになってくると思います。

in putした知識はどんどんout putして自分のものにしていきましょう。

クリニカルシナリオ以外にもフォレスター分類・Nohria-Stevenson分類などもあるので興味のある方は調べてみてください。